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あしたの少女【ネタバレあり感想】実話が元になっていた。韓国の現場実習の実態とは

あしたの少女

今回ご紹介する映画はこちら。

「あしたの少女」

日本では2023年8月25日より全国公開され、現在(2024年2月上旬)はU-NEXTにてポイントでレンタル可能となっているのでレンタルして鑑賞してみました。
そして2024年2月25日からはDVD販売とレンタルが開始予定です。

ATTENTION
以下ネタバレを含みますので、目次をご利用ください

予告動画

簡単なあらすじ

 

ダンスをこよなく愛する高校生ソヒ。
担任教師に紹介されたコールセンターの会社で現場実習生として働き始めるが、その会社は実習生としてではなく社員と同じ内容の仕事をさせ、挙句の果てには成果給すら支給しないという酷い会社だった。
ある日、指導してくれていたセンター長が自ら命を絶ってしまう。
ショックを受けながらもノルマを達成するために頑張るソヒだったが、社内で問題を起こして次第に孤立するようになり、貯水池で自ら命を絶つことを選ぶのだった。
ソヒの自死の捜査を担当することになった刑事のユジンは、彼女の死の真相を調べるうちに実習先の会社で何が起きていたのか、そしてさらにもっと大きなところに問題があるのではないかと思い始める。

主な登場人物

 

キム・ソヒ(キム・シウン)
ダンスが大好きな女子高生。
現場実習生となり働き始めるが、酷い扱いを受け自ら命を絶ってしまう。

オ・ユジン(ぺ・ドゥナ)
自死したソヒの捜査を担当する刑事。
この事件には大きな闇があるのではないかと疑い始める。

作品について

 

「あしたの少女」の監督・脚本を手掛けたのはチョン・ジュリ監督。
2022年のカンヌ国際映画祭で、韓国映画として初めて批評家週間の閉幕作品として選ばれています。
物語は前半と後半で2部構成になっているのも特徴的です。

観た感想(ネタバレ)

 

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こんなことが実際にあったなんて信じられない・・・

現場実習生をなんだと思っているんだ・・・
終始そう思わずにはいられない実習生に対する扱い方や社内環境と、無責任な学校の先生たち・・・そして問題はもっと深いところで起きているということ知り、憤りを感じました。
受験でもそうだけれど、日本よりも競争が厳しいと言われている韓国ですが、こんなシステムの社会で生きていく若い世代の子たちがかわいそうです。

以下、ネタバレしながらの感想です。

実際に起きた出来事を映画化していた(ネタバレあり)

「あしたの少女」は2017年に現場実習生のスヨンさんが自殺した出来事を元に作られています。
自殺した高校生スヨンさんは、コールセンターで現場実習生として働かされ、ノルマ達成するまで残業させられ精神を病んでいき貯水池に身を投げて自殺していて、映画と同じで一度自殺未遂もしています。
映画では指導係の上司が自殺していますが、実際にもスヨンさんが働き始める2年前に社員が自殺していたみたいです。

後半部分からメインで登場する刑事ユジンについては監督の創作したキャラクターだそうですが、ユジンが捜査で明らかになっていく実態は本当のことだろうと思われます。

この映画は、スヨンさんのことを元に作られていますが、実際には他にも現場実習生が自殺したり業務中の事故で大怪我をするというような出来事が多々起きているようです。
それなのに国はあまり動いておらず、この映画がきっかけで実習生の保護を求める声が大きくなり、スヨンさんのような犠牲者がこれ以上でないように法の改正案が国会本会議を通過したそうです。

問題がありすぎるシステム(ネタバレあり)

「そんなに辛いなら辞めてしまえばいい」
映画の中でもそんなセリフが出てきていました。
辛いなら辞めてしまったっていいですよねほんとに。そんなところにずっと我慢している必要はないと思います。
でも、ソヒは辞めないんです。
辞めないというか、辞めたらどうなるかわかっているから辞められないんです。

ソヒの友達のジュニは、高校を中退していて動画配信をしてお金を稼いでいる今時のYouTuberみたいな感じの女の子なんですが、ジュニも実は実習先の会社の飲み会で酒を飲むことを強要されたことが原因で辞めています。
仕事を辞めると高校側からしたら自分の高校の評価が下がり就職先を紹介してもらえなくなるので、辞めた人には厳しいペナルティーを与えるんですよね。
ジュニもそうさせられて最終的には高校を中退してしまい、摂食障害にまでなってしまったようです。

学校は就業率を上げるために実習先がどんな環境なのかも調査せず、生徒が専攻している分野とは全く関係ない業種の企業でも構わず紹介してとにかく働かせればいいわけ。
就業率も他の学校と競っているから、下がると新しい生徒も入ってこなくなるし就職先も紹介してもらえないし、先生の給料も下がっちゃうし学校は学校で必死なんですよね。

そして学校をその状態にしているのはさらにその上の教育庁であって、教育庁でも同じように就業率で競い合っていてノルマを達成するために必死であることがユジンの捜査で明らかになっていて、問題がかなり根深いところにあることがわかったんですよね。

ソヒの実習先の会社も含め、みんなが自分のところを良くすることに必死でそのためには手段を選ばない。
人が死んでも隠蔽しようとするし、死んだのは生徒の家庭環境に問題があったからだと自分たちを棚に上げて文句を言うばかり。
なんかもう腐った社会でした。

気づけなかったサイン(ネタバレあり)

もうね、この映画で1番悲しかったのは大人が子供の苦しいサインに気づいていなかったことですね・・・。
特に個人的に信じられないと思ったのはソヒの両親です。

父親と母親が日頃どうしているのかは全然詳しく出てきていないのでわりません。
母親に関してはもしかして精神疾患を患っているのかな?って思うような雰囲気ではありましたが、それでも子供に無関心すぎる・・・。
ソヒと2人でご飯を食べているシーンでは、母親は1人でぼーっとどこかを見つめていてソヒが何も話していないのに「何か言った?」と聞き返していたり、基本的に上の空状態だったなぁ・・・。

ソヒが自殺未遂をした日の帰り道に、「仕事を辞めてもいい?」と言ったソヒに対しても、聞こえなかったのか聞こえないふりをしたのか知らんけど何も返事を返さなかったの本当にかわいそうだったな・・・。

そして父親も母親も、ソヒがどんな会社で働いていたのか全く知らなかったんですよね。
担任も同じでどんな会社か知らなかったんですが、親が知っていれば学校に文句を言ったり、何か行動を起こせたんじゃないかなと。
他にもこの両親は、捜査していたユジンがソヒのことを聞いても何1つ答えられていなかったです。
挙句の果てには父親が「ソヒが亡くなってから調べて初めて知った」的なことも言っていたしね。
ソヒがダンスをしていたことも全く知らなかった。
ソヒも自分のことは話さなかったり、心配かけたくないとかもあったのかもしれないけどさ。

でも少しでもサインに気づいていたら命を救えたのではないかなって思いましたね。
いなくなってから動いてもソヒは帰ってこないんだよ・・・。

まとめ

 

「あしたの少女」についてネタバレ感想を書いてみました。

この映画の出来事が実際にあった出来事だったこともかなり衝撃的だったのですが、この出来事がそんなに昔のことではないと言うことにも驚きましたね。

この映画がきっかけで2023年に法が改正されたことは第一歩なのかもしれませんが、ソヒのように悲しい思いをする実習生が今後二度と現れないようにしっかり対策してほしいものですね。

「あしたの少女」の評価
衝撃度
(4.0)
モヤモヤ度
(3.5)
イライラ度
(3.5)
総合評価
(4.0)

 

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