今日は、本日公開の映画
「生きてるだけで、愛」
のネタバレあり感想を書いていこうと思います。
最近話題の女優・趣里と大人気俳優・菅田将暉が不器用な男女のカップルを演じているんですが、お互いの演技がとても良かったですよー!
それでは早速行ってみよー!
ネタバレを含む項目にはあらかじめ注意書きがされています。
気になる人は、目次をご利用ください!
予告動画
あらすじ
寧子(趣里)と津奈木(菅田将暉)は付き合って3年、同棲している。
寧子は、情緒不安定な性格で躁と鬱を繰り返しており、 鬱状態の時は寝る事以外何もやる気が起きない事がほとんどで、アルバイトすらできない。
唯一姉とのメールでのやり取りが外との繋がりである。
対する津奈木は、週刊誌の編集部でゴシップ記事を書いているが、やり甲斐を感じておらず他人に興味もなく一定の距離を保ちながら過ごす日々が続いていた。
2人の関係はうまくいっているとは言えない。
何もしない寧子のために仕事帰りに毎日お弁当を買って帰り、寧子からどんなに強く感情をぶつけられても静かに相づちを打つ津奈木の態度に、寧子は余計に苛立ちを感じていた。
ある日、アパートに津奈木の元カノ・安堂(仲里依紗)がいきなり訪ねてくる。
津奈木とよりを戻したいから津奈木とは別れてほしいと言いに来た安堂は、寧子に自立して家を出ていってもらうためにとカフェでのアルバイトを紹介し、寧子は半ば強制的に働くことになってしまう。
主な登場人物
寧子(趣里)
彼氏の津奈木と同棲して3年。
昔から情緒不安定で、躁と鬱を繰り返している。
鬱状態の時は過眠症になってしまうため、家のことも一切せず1日のほとんどを布団の中で生活している。
津奈木(菅田将暉)
寧子の彼氏。
夢を追いかけて出版社に入社するも、週刊誌の編集部でゴシップ記事を書く日々。
仕事にやり甲斐は感じていない。
他人に興味はなく、周りとは一定の距離を保って生活している。
安堂(仲里依紗)
津奈木の元カノ。
アパートに突然現れ、寧子に津奈木とよりを戻したいから別れてくれと言ってくる。
寧子を自立させるためにと、半ば強制的にカフェでのアルバイトをさせようとする。
美里(石橋静河)
津奈木と同じ出版社で働いている。
以前自分が書いたゴシップが原因で自殺者が出てしまい、トラウマになっている。
村田(田中哲司)
寧子が働くことになったカフェの店長。
躁鬱病の寧子が働くことをこころよく受け入れてくれる。
真紀(西田尚美)
村田の妻で一緒にカフェで働いている。
作品について
「生きてるだけで、愛」は、本谷有希子さんの同名小説が原作です。
この小説は、三島由紀夫賞と芥川龍之介賞候補作品となっています。
監督・脚本は関根光才氏。
これまでに、短編映画やCM・ミュージックビデオを演出。
今回が初めての長編劇場映画監督作品となります。
撮影にはキャラクターの人間臭さをよりリアルに表現するために、16mmカメラを使用しているのも特徴です。
映画では、原作よりも津奈木のキャラクターをより表に出して制作しているようです。
個人的に、エンディングテーマ曲にも魅力を感じました。
世武裕子さんが歌う「1/5000」という曲は、詩人の御徒町凧さんも共同で歌詞を手がけていて、映画の雰囲気にぴったりな歌となっていますよ!
観た感想
me
双極性障害の主人公・寧子の言動がホントすごくて、それを演じている趣里さんもかなり体張っていて、その演技を観るだけでも価値がある作品でしたね。
物語は基本的に寧子と津奈木2人の生活を描いているので、大きな盛り上がりもなく続くんですが、とにかく寧子の起伏が激しい!笑
自分をコントロールできないことで自分に疲れてしまうこと、自分のことをわかってほしいのに自分のことを他人に知られるのも怖い・・・寧子には苛立つ部分もあるんですが、女性なら共感できる部分もあると感じました。
「津奈木は私と別れられるけど、私は私と別れることができない」
と寧子が言ったセリフがとても印象的で、自分という人間がどれだけ厄介者で毎日生きることにどれだけ疲れるのかが、そのセリフにすべて詰まっているように感じました。
対する津奈木の性格も、人と一定の距離を保ちながら何事にも関わらないように生活する姿は、現代に生きる人たちに通ずる部分があったり、寧子に振り回される場面にも共感してしまいました。
双極性障害の大変さ
寧子が患っている双極性障害。
冒頭で寧子が、子供の頃に家が停電した時の出来事を話す場面があります。
「家が停電になると、暗闇の中で女の人が裸で踊っているんだ」と。
姉からそれはお母さんだよと聞かされ納得した寧子。
おそらく寧子の症状は、母親からの遺伝だと考えられます。
躁鬱病・・・現代では双極性障害と言うそうですが、躁状態と鬱状態を繰り返す精神障害で、I型とより軽い症状のII型があります。
躁状態の時には何でもできてしまうような精神状態になってしまうので、結構危険だと言いますよね。
逆に鬱状態の時には、何のやる気も起きず不眠か過眠になってしまう、とても厄介な障害と言えます。
寧子のように遺伝の人もいるし、仕事や交友関係何かがきっかけで発症してしまう人もいるし、正直誰がなってもおかしくない現代病です。
寧子の行動を見ていると、常にイライラしていて急に叫び出したりもするし、そうかと思うと眠ってしまったり・・・
躁状態になったら走りながら全裸になってたし・・・
一緒に住んでいる津奈木は本当に大変だと思う。
私は患ったことはないですが、親戚で同じような人がいてもう何年も見ているので、一緒にいる人がどれだけ大変なのかがすごくわかります。。
生まれ持った性格もプラスされてくるので誰もがみんな同じ症状だとは限らないですが、基本的に自分のことしか考えられないんですよね。
考えられないと言うか、自分のことで精一杯。
相手のことを考えることができないので、夜中だろうが早朝だろうが構わず電話をかけてきたり、こっちを向いて欲しくて暴れたり、挙げ句の果てには「死んでやる」と言う。
私、その親戚が母に電話で「死ぬ」と言って脅して、母が慌てて家に向かうと首を吊ろうとしていたというのを聞いたことがあるんですよ。。
それも、その脅しを何回もやっていて・・・。
子供の頃は電話がかかってくるたびに母が向かっていました。
今は薬が合っているのか落ち着いていますが、何度言っても相手を考えずに電話をかけることは治りません。。
私の同級生は母親の遺伝で患ってしまい、本当に自殺してしまいました。。
双極性障害のことを知らない人が寧子を見たら、こんなこと本当にあるのか!?って思うかもしれません。
患っている人が見たら、私はこんなことしない!って思うかもしれません。
でも、私は同じような人が身近にいるからか驚かなかったです。
むしろ、やっぱりそうなるよな・・・と思いましたね。
元カノ現る(ネタバレあり)
鬱状態のときは、ほぼ毎日を布団の中で過ごしている寧子ですが、ある女の出現で寧子の生活が乱されてしまいます。
それは、津奈木の元カノの安堂が現れたからです。
安堂はいきなり現れる前に、津奈木の会社まで尾行したり、スーパーに買い物に出かけた寧子を尾行していました。
そして、寧子に会うなり津奈木とよりを戻したいから別れてくれと言ってきます。
しかも安堂の言動は、寧子が「私より症状重くないですか?」と心配するくらいおかしいんですよね。
恐ろしいほどに津奈木に執着していて、お店でも構わず大声で声を荒げたり、「津奈木にこのことを言ったら、あなたに迷惑かかるように死ぬから」と脅してきます。
多分、安堂も同じように精神障害なんだと思うんですが、攻撃的なので躁状態だからなのかな?
私は頑張って仕事してるのに、なんで私だけがって自分の被害妄想ばかり。
自分はそんな病じゃないと認めないタイプなので、寧子よりも厄介かもしれません。
でも、津奈木と別れてから寧子が自立して生きていけるようにとアルバイトを紹介したり、社会復帰の手助けもしてくれます。笑
って言っても、毎日店に来て寧子のことを監視するという異常さですが・・・。
おかげで寧子もなんとか頑張ってカフェで働き出すのですが、カフェの店長やスタッフも寧子に対して無神経な発言をしてくるので、寧子もパンクしてしまうんですけどね😅
とにかく、安堂を演じた仲里依紗の演技、マジで怖かったw
この映画には裏テーマがあった
監督は、「生きてるだけで、愛」を映画化する上で裏テーマを作っていたそうです。
裏テーマは、
「世の中におかしくない人間はいない」
寧子だけを見ているとぶっ飛んでいるせいか、かなりおかしく見えるんですが、個人的には元カノの安堂だってかなりおかしいと思ったし、監督からすると、バイト先の店長たちの寧子に対する言葉もかなり酷い言葉だったり、よく考えてみれば確かにまともな人はいなかったかもしれません。
そう考えながら観てみると、すごくユーモアを感じる映画だと思います。
100%分かり合えるわけがない
寧子は病のせいでもあるのか、自分のことをわかってほしいという気持ちを強く表に出してきます。
私がこう言ったらこう答えてほしいのに、何で津奈木はいつも違うことを言うの?と言う感じで、津奈木の自分への反応に常にイライラしているんですよね。
逆に津奈木は、常に人とは一定の距離を保つことで傷つかないように生きていて、相手にも当たり障りのない受け答えしかしていません。
でも、自分の感情を我慢しているので、限界に達すると爆発してしまいます。
寧子に対しても、こう答えておけば大丈夫だろうと自分で判断して受け答えしていました。
わかっているつもりでそうしていたんですが、全然わかっていなかったんです。
それは寧子にも言えることで、寧子に関しては津奈木のことを考える余裕もないし、わかろうとすることもできない状態ですからね😅
この2人のやり取りは、寧子にすごく共感できるところがありました。
逆に男性は津奈木に共感できるかもしれないです。
生理前のイライラのときとか、男性にはなんでイライラしているのか理解できないですよね。
私は生理前なんだからわかってよ!って思うことが多々ありますw
でも、男と女は全く別の生き物なのでそんなのわからなくて当然なんです。
わかり合うのには、きちんとお互いが向き合わなければいけないと思うんです。
向き合うことすらできない2人は、尚更分かり合えるはずがない。
でも、仮に向き合ったとしても、100%分かり合うなんて無理ですからね。
分かり合おうと生きるよりも、分かり合えなくて当然なんだと、少し開き直っていた方が全然楽になります。
映画の中で寧子が、津奈木と分かり合えたのはほんの一瞬だけだったと言っているのですが、2人はその瞬間があったからこそ、その分かり合えた瞬間を信じて3年も一緒にいられたんでしょうね。
個人評価は?
また新しいタイプの恋愛映画ができたんじゃないかと感じました。
やっぱり人間の汚い部分などが描かれていると、現実味があっていいですよね!
恋愛っぽい流れはほとんどないですが、それでもほんの少し愛を感じることができる作品だったと思います。
趣里×菅田将暉の熱演ぶりや、仲里依紗の恐ろしい演技など、演技を観るだけでも価値がある作品です。
気になった人は是非観てみてね!
me
人の精神とは複雑なものだと、毎日感じます。本来、愛は良いもののはずなのに、最近はねじ曲がってますね。。愛するあまりにおかしくなったり、愛がなくておかしくなったり。。
本当に、人間って複雑。。
「おかしくない人はいない」というのは言い過ぎな感じがしますが、偽善を感じることは多々あります(-_-;)
そうですね。すごく複雑だし、人それぞれ違うので分かり合うことも難しいですよね。
最近は極端な気がします。
愛しすぎたり愛されなかった故の行動が、行き過ぎている。。
たしかにちょっと言い過ぎ感はありますが、SNSをやっていると特に偽善を感じますねー。。(^_^;)
仲里依紗と菅田将暉の競演というだけでも興味深いんですけど、双極性障害というのも面白いですね。
職場に鬱の人は患者さんで見ることはありますが、躁の人は未見ですね。
勉強の意味でも観てみたい映画ですね~。でもブログ読んだからレンタル待ちとします。
めっちゃ面白そうですね。
仲里依紗の演技は、すごく怖かったです((((;゚Д゚)))
菅田将暉は、どんな役でもできるんだなぁって感心しました!
そして、双極性障害の女性を演じた趣里さん、本当にそうかと思うくらいすごかったです!
おそらく見たことがないのは、患者さんは鬱状態になった時に病院に行くことがほとんどだからなのかなと思います。
結構衝撃的な行動を取るので、観る機会あったら是非観てみてください(^ ^)